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「保存版」システム開発の外注フローと成功すべき進め方

  • 執筆者の写真: atsu wada
    atsu wada
  • 2025年10月20日
  • 読了時間: 10分


「システム開発を外注したいが、何から始めればいいか分からない」「全体の流れが見えず、今どの段階にいるのか不安になる」。初めてシステム開発の外注を担当する方から、こうした相談をよく受けます。


ある製造業の担当者は、「とりあえず開発会社を探してみよう」と見切り発車でスタートしましたが、社内の要件が固まっていないため、開発会社との打ち合わせが進まず、結局半年後に振り出しに戻ることになりました。


一方で、別の小売業では事前準備を徹底した結果、スムーズに開発が進み、予定通りに稼働開始できたという対照的な事例もあります。


この違いは何でしょうか。システム開発外注の成功は、実は開発が始まる前の段階で8割が決まります。全体の流れを理解し、各段階での重要ポイントを押さえることで、成功確率を大幅に高めることができるのです。


本記事では、システム開発外注の全体フローを4つの段階に分けて解説し、各段階での成功のポイントをストーリー形式でお伝えします。「保存版」として手元に置き、プロジェクトの道しるべとしてご活用ください。




システム開発外注の全体像:4つの段階で理解する


システム開発の外注を登山に例えるなら、準備段階は「装備と計画の確認」、選定段階は「ガイド選び」、開発段階は「実際の登山」、導入段階は「頂上到達と下山」に相当します。


  • 準備段階(1-2ヶ月):社内の合意形成と要件整理

  • 選定段階(1ヶ月):最適なパートナーの選定と契約

  • 開発段階(3-6ヶ月):要件定義から開発・テストまで

  • 導入段階(1ヶ月):受け入れテストから本稼働まで


全体で6-10ヶ月の期間を要しますが、各段階を急がず、しっかりと準備を整えることが成功への近道です。特に最初の準備段階を軽視すると、後の段階で必ず問題が発生します。




準備段階:成功の8割はここで決まる


ある企業では、十分な社内合意を取らないまま開発をスタートした結果、プロジェクト半ばで経営層から「やっぱり不要では」とストップがかかり、それまでの投資が無駄になってしまいました。また別の企業では、現場の意見を聞かずに進めた結果、完成したシステムを誰も使わないという事態に陥りました。


このような失敗を防ぐため、準備段階では最低限この3つを徹底してください。



課題と目的の明確化:「なぜ必要か」を数値で語れるようにする

「業務効率化のため」では経営層は納得しません。「月末の集計作業が現在3日かかっているが、これを半日に短縮し、年間○○時間の工数削減を実現する」といった具体的な効果を示すことが重要です。


現在の業務でどこに時間がかかり、どんなミスが発生し、どれだけのコストになっているかを数値化して整理しましょう。月末・年度末の繁忙期の実態、お客様からの苦情、手作業によるミスの頻度など、リアルなデータがあると説得力が増します。



社内合意形成:経営層と現場を同じ方向に向ける

システム開発には相応の投資が必要です。開発費用だけでなく、インフラ費用、年間の運用保守費用、そして予備費として全体の15-20%程度を見込んでおく必要があります。


ここで重要なのは、経営層だけでなく実際にシステムを使う現場の合意も取り付けることです。「上から言われて仕方なく使う」システムは、どんなに機能が優秀でも活用されません。現場の声を聞き、彼らにとってのメリットも明確にして進めましょう。



プロジェクト体制の構築:「丸投げ」では絶対に失敗する

「専門家にお任せすれば大丈夫」という考えは危険です。システム開発は発注側の積極的な参画なしには成功しません。


最低限、プロジェクト責任者(全体統括・意思決定)、業務担当者(要件定義・仕様確認)、決裁者(予算・スケジュール変更の承認)の役割分担を明確にし、各担当者が週に何時間程度このプロジェクトに関われるかを確保しておきます。


準備段階を飛ばすと後で必ず痛い目を見ます。ここだけは手を抜かないでください。




選定段階:パートナー選びが明暗を分ける


あるサービス業では、価格の安さだけで開発会社を選んだ結果、途中で担当者が何度も変わり、最終的に当初の倍の費用と時間がかかってしまいました。一方、別の企業では多少高めでも信頼できる会社を選んだ結果、追加費用ゼロで予定通りに完成したという例もあります。


開発会社選びでは、この3つの観点で総合的に判断することが重要です。



技術力より業務理解力を重視する

高い技術力があっても、あなたの会社の業務を理解できない開発会社では、使いにくいシステムができあがってしまいます。同業界での開発実績があり、初回の打ち合わせで「なぜそのシステムが必要なのか」から質問してくれる会社を選びましょう。


技術的な話ばかりする会社、いきなり見積もりの話に入る会社は要注意です。まず業務フローを聞き、課題を理解しようとする姿勢があるかどうかが、良いパートナーかどうかの分かれ目です。



提案力と相性を確認する

複数の開発会社から提案を受ける際は、単なる要求への回答ではなく、「こうした方がより効果的では」「こんなリスクも考えられます」といった建設的な提案があるかを確認します。


また、担当予定者との相性も重要な要素です。システム開発は数ヶ月にわたる協働作業なので、コミュニケーションが取りやすく、困ったときに相談しやすい関係を築けそうかも判断材料にしてください。



契約条件は必ず詳細まで確認する

価格だけでなく、作業範囲、変更時のルール、品質基準、サポート体制なども含めて総合的に判断します。極端に安い見積もりには必ず理由があります。


契約時のポイントについては、前回の記事「外注時によくあるトラブルと回避するための契約ポイント」も合わせてご確認ください。


最適なパートナーを選ぶことで、プロジェクト全体の進行が劇的に変わります。価格だけで判断せず、総合力で選んでください。




開発段階:継続的な関与が成功の鍵になる


ある企業では、契約後は「専門家にお任せ」として進捗確認を怠った結果、最後になって「想定していたものと全く違う」システムが出来上がり、大幅な修正が必要になってしまいました。


開発段階での成功のポイントは、「適度な距離感での継続的な関与」です。



要件定義は発注側が主役の認識を持つ

要件定義は、システムの仕様を決める最も重要な工程です。ここで「お任せします」は禁物。現在の業務フローの詳細説明、例外処理の洗い出し、他部門への影響確認など、発注側が積極的に関与する必要があります。


不明点や疑問点は遠慮なく質問し、曖昧な部分を残したまま次の工程に進まないことが重要です。後から「やっぱりこうしたい」という変更は、工数もコストも大幅に増加します。



定期的な確認で軌道修正をする

週次または隔週での進捗報告会を設定し、予定と実績の差異、課題や問題点を早期に発見・対応します。設計書のレビュー、テスト段階での立会いなど、中間成果物の確認も怠らないでください。


変更や追加が必要になった場合は、影響範囲(工数・費用・納期)を事前に確認し、社内の承認プロセスを経てから実施します。小さな変更の積み重ねが、最終的に大きなコスト増につながることもあるので注意が必要です。



「丸投げ」は必ず失敗します。適度な距離感で継続的に関与することで、期待通りのシステムを手に入れることができます。




導入段階:最後まで気を抜かない


システムの開発が完了しても、実際に使えるようになるまでには最後の重要な段階があります。ある企業では、受け入れテストを形式的に実施しただけで、実際の運用が始まってから多数の問題が発覚し、現場が混乱に陥ったという事例もあります。



受け入れテストは実業務に近い形で

開発されたシステムが本当に業務で使えるかを確認するため、実際の業務フローに沿ったテストを実施します。テスト用のダミーデータではなく、可能な限り実際のデータに近いもので確認することが重要です。


不具合が見つかった場合の対応方法も事前に決めておきます。致命的な問題は稼働前に必ず修正、軽微な問題は稼働後の対応でも可、といった判定基準を明確にしておくことで、最後の段階でもめることを防げます。



現場への配慮を忘れない

システムを実際に使う現場の方々への準備も重要です。操作研修、マニュアル整備、初期サポートなどを通じて、新しいシステムにスムーズに慣れてもらう必要があります。


稼働直後は立会いサポートを実施し、問い合わせ対応やトラブル解決を迅速に行います。ユーザーからのフィードバックを収集し、必要に応じて改善を図ることも大切です。



効果測定で投資対効果を確認

システム稼働後は、当初設定した目標が達成できているかを測定します。作業時間の短縮効果、ミスの削減効果、ユーザーの満足度など、準備段階で設定した効果指標に基づいて評価を行います。


導入段階での準備不足は、せっかく作ったシステムが活用されない原因となります。最後まで気を抜かず、現場への配慮を怠らないでください。




よく見る失敗パターンと確実な回避策


多くの企業が陥りやすい失敗パターンを4つ挙げ、それぞれの回避策をお伝えします。


パターン1:準備不足による要件変更の連続

社内検討が不十分なまま開始し、「やっぱりこの機能も」「この処理では使いにくい」と変更が連発します。

回避策:準備段階で関係者ヒアリングを徹底し、機能の優先順位を付けておきます。



パターン2:丸投げによる品質・進捗問題

「専門家にお任せ」で確認を怠り、最後に品質や仕様の問題が発覚します。

回避策:定期的な進捗確認と中間成果物のレビューを実施します。



パターン3:受け入れ基準曖昧による最終段階のもめ事

「完成」の定義が曖昧で、受け入れ段階で「想定と違う」とトラブルになります。

回避策:契約時に受け入れ基準を明確化し、テスト項目を事前に合意しておきます。



パターン4:現場軽視によるシステム不活用

経営陣や企画部門だけで進め、現場の意見を無視した結果、誰も使わないシステムになります。

回避策:要件定義段階で現場ヒアリングを実施し、段階的導入で慣れる期間を確保します。




段階別:最低限これだけは外せないチェックポイント


各段階で絶対に外してはいけない要点を整理しました。


準備段階

  • 解決したい課題を数値で表現できるか

  • 経営層と現場の合意は取れているか

  • プロジェクト体制と役割分担は明確か


選定段階

  • 複数社から提案を受けて比較したか

  • 業務理解力とコミュニケーション力を確認したか

  • 契約条件を詳細まで確認したか


開発段階

  • 要件定義に積極的に参画しているか

  • 定期的な進捗確認と中間成果物のレビューを実施しているか

  • 変更管理のルールを守っているか


導入段階

  • 実業務に近い形で受け入れテストを実施したか

  • 現場向けの研修・マニュアル整備は完了したか

  • 効果測定の仕組みは準備されているか




まとめ:成功への道筋は決まっている


システム開発外注の成功には、決まった道筋があります。準備段階での社内合意と要件整理、選定段階での適切なパートナー選び、開発段階での継続的なコミュニケーション、導入段階での現場への配慮。この4つの段階を着実に進めることで、成功確率は格段に高まります。


最も重要なのは、「準備段階で8割が決まる」ということです。急がば回れ。しっかりと準備を整えてから動き出すことが、結果的に最短ルートとなります。


また、システム開発は技術的な作業である以前に、人と人とのコミュニケーションが中心となるプロジェクトです。開発会社との信頼関係を築き、同じ目標に向かって協力する姿勢が何より大切になります。


この記事を「保存版」として手元に置き、プロジェクトの各段階で必要に応じて参照してください。段階を追って着実に進めることで、あなたのシステム開発外注は必ず成功します。焦らず、準備を怠らず、良いパートナーと歩んでください。



 
 
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