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外注先とのコミュニケーションを円滑にするための5つのコツ

  • 執筆者の写真: atsu wada
    atsu wada
  • 1月23日
  • 読了時間: 9分

「外注先との打ち合わせで話が噛み合わない」「言ったはずのことが伝わっていなかった」「完成したシステムが想定と違う」。システム開発の外注を初めて担当する方から、こうした悩みをよく聞きます。


実は、システム開発の失敗原因の多くは「技術力不足」ではなく「コミュニケーション不足」です。日経コンピュータ「ITプロジェクト実態調査2018」によると、プロジェクトが失敗した原因の第1位は「要件定義の不備」(55.1%)、第2位は「コミュニケーション不足」(44.7%)となっています。少し前のデータになりますが、現在でもこの傾向は変わっておらず、業界の定説となっています。


本記事では、外注先とのコミュニケーションを円滑にし、プロジェクトを成功に導くための具体的な5つのコツをお伝えします。


なぜコミュニケーションが重要なのか


システム開発における「コミュニケーション」とは、単なる情報交換ではありません。お互いの認識を合わせ、期待値をすり合わせ、問題を早期に発見して解決する。これらすべてがコミュニケーションの役割です。



認識のズレがもたらす失敗

ある小売業の担当者は、「在庫管理システム」を発注する際、「リアルタイムで在庫が分かるシステム」と伝えました。担当者の頭の中では「商品が売れたら即座に在庫数が減る画面」をイメージしていました。


しかし、開発会社は「1日1回、夜間バッチで在庫数を更新するシステム」を作りました。開発会社にとって「リアルタイム」とは「日次更新」を意味していたのです。このズレに気づいたのは、テスト段階でした。修正には追加費用と2ヶ月の期間が必要となり、プロジェクトは大幅に遅延しました。



コミュニケーション不足のコスト

要件定義段階での修正コストを1とすると、設計段階では5倍、開発段階では10倍、テスト段階では20倍、リリース後では100倍にまで膨れ上がるというデータもあります。


つまり、初期段階でのコミュニケーションに時間をかけることは、決して無駄ではありません。むしろ、後で発生する膨大なコストと時間を節約する、最も効率的な投資なのです。




コツ①:導入時に「コミュニケーションルール」を決める


プロジェクトが始まる前に、外注先と「どうやってコミュニケーションを取るのか」を明確に決めておきましょう。これがないと、「言った・言わない」のトラブルや、情報の行き違いが頻発します。


連絡手段とその使い分け

緊急度や内容に応じて、使う連絡手段を決めておきます。

  • 緊急時:電話(15分以内に返答が必要な場合)

  • 日常的な連絡:チャット(Slack、Chatworkなど)

  • 正式な依頼や重要事項:メール

  • 定期報告:週次の進捗レポート


チャットツールのゲスト権限発行やVPN申請など、セキュリティ関連の手続きでアカウント発行に1〜2週間かかることもあります。契約締結直後に着手しましょう。特に、社内のセキュリティポリシーが厳しい企業では、外部アクセス権限の申請に時間がかかるため、プロジェクト開始前に確認しておくことが重要です。



返信期限と意思決定者

「いつまでに返事をするか」を決めておきましょう。

  • 緊急の質問:当日中

  • 通常の質問:翌営業日中

  • 検討が必要な相談:3営業日以内


また、「誰が最終的に判断するのか」も明確にします。担当者レベルで決められること、上長の承認が必要なこと、経営層の判断が必要なことを分けておきましょう。開発会社側も同様に、窓口担当者、技術リーダー、責任者が誰なのかを確認しておきます。



ルールの文書化

これらのルールは口頭で合意するだけでなく、文書にして双方で共有しましょう。プロジェクト開始時のキックオフMTGで確認し、プロジェクト憲章や体制図に記載しておくと、後で「聞いていない」というトラブルを防げます。




コツ②:定例MTGを「形骸化させない」工夫


多くのプロジェクトで週次や隔週の定例MTGが設定されますが、「特に報告することがない」「毎回同じ話をしている」と形骸化してしまうケースがあります。定例MTGを有意義なものにするには、工夫が必要です。



事前準備が成否を分ける

MTGの前日までに、話すべき内容を箇条書きでまとめて共有しましょう。参加者が事前に準備できるため、MTGの時間を有効活用できます。


また、進捗報告から始めるのではなく、まず「困っていることはないか」「判断が必要なことはないか」を聞きましょう。早めに課題を把握することで手遅れを防げます。



悪い報告をしやすい雰囲気づくり

ここで重要なのが、発注者側のスタンスです。開発会社が悪い報告(遅延やトラブル)をしやすくするために、「早めに言ってくれれば怒らない、一緒に解決策を考えよう」という姿勢を示すことが重要です。


問題を隠されて手遅れになるより、早い段階で把握して対策を打つ方が、プロジェクト全体にとってはるかに良い結果につながります。発注者としての器量が、プロジェクト成功の鍵となります。



アクションを明確にする

MTGの最後に、「誰が」「何を」「いつまでに」やるのかを確認しましょう。議事録に記載し、次回MTGの冒頭で進捗を確認します。これにより、決定事項が曖昧なまま終わることを防げます。




コツ③:資料は「見せる」より「一緒に作る」


仕様書や設計書などの資料を「開発会社が作って、発注側が確認する」という一方通行のやり方では、認識のズレが生まれやすくなります。重要な資料は、できるだけ「一緒に作る」姿勢が大切です。


要件定義は共同作業で

効果的なやり方は、まず発注側が「やりたいこと」を箇条書きでリストアップし、それを見ながら開発会社と一緒に整理していく方法です。打ち合わせの場で画面を共有しながら、リアルタイムで資料を修正していくと、認識のズレが生まれにくくなります。


「どんな画面が欲しいのか」を伝える際、完璧な資料は必要ありません。手書きのラフスケッチでも十分です。その手書きメモを写真に撮ってチャットで送り、開発会社がそれをもとに正式な画面設計書を作る。このサイクルを回すことで、スピーディに認識を合わせられます。



「分からない」を素直に言う

開発会社から提出された資料を見て、内容が理解できない時は、遠慮せず質問しましょう。「こんなことを聞いたら恥ずかしい」と思う必要はありません。分からないまま進めて、後で「こんなはずじゃなかった」となる方が、よほど問題です。



資料共有のルールを決める

資料の共有方法も事前に決めておきましょう。

  • 保存場所:Google DriveやBOXなど、双方がアクセスできるクラウドストレージ

  • 命名規則:日付やバージョン番号を入れる(例:要件定義書_v1.2_20250106.docx)

  • 更新通知:資料を更新したら、チャットやメールで通知する

  • バージョン管理:古いバージョンも残しておき、変更履歴を追えるようにする




コツ④:「記録を残す」を徹底する


「言った・言わない」のトラブルを防ぐには、とにかく記録を残すことが重要です。口頭やチャットでのやり取りも、重要な内容は必ず文書化しましょう。


議事録は「その場で」作る

MTGの議事録は、終わってから作るのではなく、MTG中にリアルタイムで作成しましょう。画面共有しながらGoogle DocsやNotionで議事録を取り、参加者全員が見える状態にします。


その場で記録することで、認識のズレをその場で修正できます。「今こう書きましたが、認識は合っていますか?」と確認しながら進めることで、後で「そんなことは言っていない」というトラブルを防げます。



議事録に必ず記載すべき項目

議事録には、以下の項目を必ず記載しましょう。

  • 日時と参加者:誰が出席したのかを記録

  • 決定事項:何が決まったのか

  • 課題・懸念事項:何が問題として挙がったのか

  • アクション:誰が、何を、いつまでにやるのか

  • 次回MTGの日程:次はいつ集まるのか


特に「決定事項」と「アクション」は、後で振り返る際に最も重要な情報です。曖昧な表現ではなく、具体的に記載しましょう。



変更履歴も記録する

仕様変更や追加要望があった場合、「いつ、誰が、何を、なぜ変更したのか」を記録しておきましょう。変更管理表を作り、変更内容とその影響範囲(費用・納期)を記録します。


これにより、「なぜこの機能が追加されたのか」「当初の予定と何が違うのか」が後から分かります。プロジェクト終了後の振り返りにも役立ちます。




コツ⑤:「期待値」を明確に伝える


発注側と開発会社の間で最も起きやすいトラブルが、「期待値のズレ」です。「このくらいはやってくれるだろう」という期待が、実際には含まれていなかった、というケースです。


「当たり前」は人によって違う

発注側にとっての「当たり前」と、開発会社にとっての「当たり前」は、必ずしも一致しません。

例えば、「スマホ対応」と言った時、発注側は「iPhoneでもAndroidでも、どの画面サイズでも完璧に動く」ことを期待しているかもしれません。


しかし、開発会社は「iPhoneの最新2世代のみ対応」と解釈しているかもしれません。こうしたズレを防ぐには、「当たり前」と思うことほど、具体的に確認する必要があります。



期待を具体的に言語化する

「使いやすいシステム」「見やすい画面」といった抽象的な表現ではなく、具体的に伝えましょう。


❌ 悪い伝え方:「直感的に使えるようにしてほしい」

⭕ 良い伝え方:「マニュアルを見なくても、初めて使う人が迷わず操作できるようにしてほしい」

❌ 悪い伝え方:「高速に動くようにしてほしい」

⭕ 良い伝え方:「検索結果が3秒以内に表示されるようにしてほしい」



「やらないこと」と優先順位も伝える

「これはやってほしい」だけでなく、「これはやらなくていい」も伝えましょう。「今回はここまでで十分です」と明確に伝えることで、無駄な開発を防ぎ、コストと時間を節約できます。

また、すべての要望を同じ優先度で扱うと、開発会社は何を優先すべきか分からなくなります。


  • Must(必須):これがないとシステムとして成り立たない機能

  • Should(重要):できれば欲しいが、なくても最低限は動く機能

  • Could(あれば嬉しい):予算と時間に余裕があれば追加したい機能


このように優先順位を明確にすることで、予算や納期の制約がある中で、何を優先すべきかが明確になります。




まとめ:コミュニケーションは「投資」である


外注先とのコミュニケーションは、時間も手間もかかります。しかし、それは決して無駄ではありません。初期段階でのコミュニケーションに時間をかけることで、後で発生する膨大な手戻りコストを防ぐことができます。


1. 導入時に「コミュニケーションルール」を決める

連絡手段、返信期限、意思決定者を明確にしましょう。

2. 定例MTGを「形骸化させない」工夫

事前準備、課題の早期共有、アクションの明確化をしましょう。

3. 資料は「見せる」より「一緒に作る」

認識のズレを防ぐため、重要な資料は共同作業で作りましょう。

4. 「記録を残す」を徹底する

議事録、メール、変更履歴。すべてを記録することでトラブルを防ぎましょう。

5. 「期待値」を明確に伝える

曖昧な表現を避け、具体的に、優先順位をつけて伝えましょう。



次のステップ

外注先とのコミュニケーションを改善するために、以下のチェックリストを活用してください。

□ プロジェクト開始前に、コミュニケーションルールを文書化した

□ 定例MTGのアジェンダを事前に共有している

□ 議事録をその場で作成し、決定事項を明確にしている □ 重要な指示や依頼は、口頭だけでなく文書でも残している

□ 「当たり前」と思うことほど、具体的に確認している

コミュニケーションは、プロジェクト成功のための最も重要な投資です。この記事で紹介した5つのコツを実践することで、外注先との関係はより円滑になり、プロジェクト成功の確率は大きく高まります。



 
 
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