実際どうなの?開発会社の選定で担当者が失敗した話と教訓
- atsu wada
- 2025年11月28日
- 読了時間: 7分

「開発会社を選んだのは自分なのに、プロジェクトがうまくいかない」「上司からは責任を問われ、開発会社とは関係がギクシャクしている」。システム開発の外注で、こんな悩みを抱える担当者は少なくありません。
実は、開発会社選定で失敗する担当者には共通するパターンがあります。技術力や価格だけを見て選んでしまい、後になって「こんなはずじゃなかった」と後悔するケースです。
日経コンピュータ「ITプロジェクト実態調査2018」によると、システム開発プロジェクトの成功率は52.8%にとどまっており、その多くは開発会社選定の段階で防げたはずのものです。本記事では、実際に起きた失敗事例をもとに、担当者が陥りがちな落とし穴と、その対策をお伝えします。
よくある失敗例:なぜ「選んだのにうまくいかない」のか

開発会社選定で失敗した担当者の話を聞くと、共通するパターンがあります。まずは、実際に起きた失敗例を見てみましょう。
失敗例①:「安さ」だけで選んだ製造業の担当者
ある製造業の情報システム担当者は、社内から「コストを抑えて」というプレッシャーを受け、3社の見積もりの中で最も安価な開発会社を選びました。当初の見積もりは他社の6割程度で、上司にも「よく交渉した」と褒められました。
しかし、プロジェクトが始まると問題が続出。「この機能は見積もりに含まれていない」「追加費用が発生する」と次々に言われ、結局、当初の見積もりの2倍以上の費用がかかりました。担当者は社内で責任を問われ、開発会社との関係も険悪になってしまいました。
失敗例②:「実績」だけで選んだ小売業の担当者
小売業の担当者は、大手企業との取引実績が豊富な開発会社を選びました。「大手と取引しているなら安心だろう」という判断でしたが、いざプロジェクトが始まると、担当エンジニアは経験の浅い若手ばかり。
質問しても的確な回答が返ってこず、仕様の認識ズレが何度も発生。納期は大幅に遅れ、完成したシステムも使いにくいものになってしまいました。後で分かったことですが、その開発会社は大手案件を優先し、中小企業の案件には新人を配置する方針だったのです。
失敗例③:「営業の印象」だけで選んだサービス業の担当者
サービス業の担当者は、初回打ち合わせで営業担当者の対応が良かった開発会社に決めました。質問にも丁寧に答えてくれて、「この会社なら安心」と感じたそうです。
しかし、契約後に実際のプロジェクトを担当したのは別のエンジニアで、コミュニケーションがまったく噛み合いませんでした。営業は「できます」と言っていたのに、エンジニアは「技術的に難しい」と言う。結局、想定していた機能の半分も実現できず、プロジェクトは失敗に終わりました。
失敗の原因分析

これらの失敗には、共通する3つの原因があります。
原因①:表面的な情報だけで判断している
価格、実績、営業の印象といった表面的な情報だけで開発会社を選ぶと、失敗するリスクが高まります。重要なのは、「自社のプロジェクトに本当に合っているか」を多角的に見ることです。
安価な見積もりには必ず理由があります。工数を少なく見積もっているか、曖昧な仕様で契約して後から追加費用を請求する前提か。実績が豊富でも、自社と同じ規模・業種での経験がなければ意味がありません。
原因②:「誰が責任を持って対応するのか」を確認していない
開発会社全体の実績や評判は良くても、実際に自社のプロジェクトを「誰が責任を持って対応するのか」で結果は大きく変わります。営業担当者と開発担当者が別人であることも多く、契約前に開発担当者と面談しないまま進めてしまうケースが少なくありません。
「この会社なら大丈夫」ではなく、「このエンジニアなら大丈夫」と判断できるかどうかが重要です。
原因③:「安心感の錯覚」が判断を鈍らせる
有名企業や実績豊富な会社を選ぶ際、「大手なら問題が起きにくいはず」という安心感の錯覚が働くことがあります。しかし、この判断基準では自社に本当に合った開発会社は選べません。
重要なのは、失敗を避けることではなく、成功する確率を高めることです。安心感ではなく、論理的な根拠を持って選ぶ姿勢が求められます。
どう対策すべきか

では、どうすれば開発会社選定で失敗しないのでしょうか。具体的な対策を3つ紹介します。
対策①:複数の判断軸で総合評価する
価格だけ、実績だけ、という単一の基準ではなく、複数の観点で総合的に判断しましょう。評価項目はこの6つだけで十分です。
評価すべき項目:
類似プロジェクトの経験(業種・規模が近いか)
担当予定者のスキルと経験
コミュニケーションの取りやすさ
提案内容の具体性
価格の妥当性(安すぎず、高すぎず)
サポート体制
これらをバランス良く見て、「自社のプロジェクトに最も適している」会社を選ぶことが重要です。
対策②:契約前に担当者と必ず面談する
契約前に、実際にプロジェクトを担当する予定のエンジニアやプロジェクトマネージャーと面談しましょう。この面談で確認すべきポイントは以下の通りです。
面談で確認すること:
過去の類似プロジェクト経験
技術的な質問への回答の的確さ
こちらの業務内容への理解度
コミュニケーションの相性
営業担当者の印象だけで判断せず、実際に一緒に働く人との相性を確かめることが成功の鍵です。
対策③:見積もりの「中身」を確認する
安価な見積もりに飛びつく前に、何が含まれていて何が含まれていないのかを細かく確認しましょう。
見積もりで確認すべき点:
各工程の作業内容と工数
打ち合わせの回数
テストの範囲
修正対応の回数
除外事項(やらないこと)
追加費用が発生する条件
曖昧な見積もりは、後でトラブルの原因になります。不明点は契約前に必ず確認し、文書で合意しておくことが重要です。
担当者の心構え

開発会社選定を任された担当者が持つべき心構えを3つお伝えします。
心構え①:「完璧な会社」は存在しないと知る
すべての条件を満たす完璧な開発会社は存在しません。重要なのは、自社のプロジェクトにとって「何が最も重要か」を明確にし、その優先順位に合った会社を選ぶことです。
価格を最優先するのか、品質を重視するのか、スピードが必要なのか。自社の状況に応じて判断基準を決めましょう。
心構え②:「安心」より「納得」を重視する
有名企業だから安心、実績が豊富だから安心、という理由で選ぶのではなく、「なぜこの会社が自社に合っているのか」を論理的に説明できるかどうかが重要です。
上司や経営陣に報告する際も、「○○だから安心」ではなく、「○○という理由で最適だと判断した」と説明できる根拠を持ちましょう。
心構え③:選定は判断ではなくマネジメント
開発会社を選んだら終わりではありません。選定は「判断」ではなく「マネジメント」です。プロジェクトが成功するかどうかは、選定後のコミュニケーションや関係構築にかかっています。
定期的な進捗確認、問題が起きた時の迅速な相談、お互いの期待値のすり合わせ。こうした日々の積み重ねが、プロジェクト成功の鍵となります。
まとめ:最適解を当てる作業ではなく、成功確率を高めるプロセス

開発会社選定は、最適解を当てる作業ではなく、成功確率を高めるプロセスです。失敗する担当者の多くは、表面的な情報だけで判断し、実際に一緒に働く人を見ていません。重要なのは、以下の3点です。
1. 複数の判断軸で総合評価する
価格や実績だけでなく、担当者の質、コミュニケーション、提案内容など、多角的に判断しましょう。
2. 契約前に担当者と面談する
営業ではなく、実際にプロジェクトを担当するエンジニアと話すことが成功の鍵です。
3. 「安心」より「納得」を重視する
なぜこの会社が自社に合っているのか、論理的に説明できる根拠を持ちましょう。
開発会社選定は、担当者にとってプレッシャーのかかる仕事です。しかし、この記事で紹介した失敗例と対策を参考にすれば、同じ失敗を繰り返すリスクを大幅に減らすことができます。
次のステップ
まずは以下の3つから始めてみてください。
□ 自社の優先順位(価格/品質/スピード)を明確にする □ 候補企業ごとに「担当予定者との面談」を設定する □ 見積もりの「除外事項」と「追加費用の条件」を文書で確認する |
これらの準備をしっかり行うことで、開発会社選定の成功確率は大きく高まります。


